水処理の性能を左右する膜

「どのような目的で使用する水なのか」、お客様のご希望にそった水処理を行うために、膜の選定はもっとも重要な工程の一つともいえます。

このページでは水処理に使われる膜の種類と逆浸透法について解説いたします。

水の種類

水はその用途によってさまざまに精製されています。

純水
塩類や電荷イオン、微粒子数等が相当量除去された状態の水。
超純水
純水をさらに精製した水。半導体素子や液晶パネルの製造、医療用では注射用水として、またバイオテクノロジーの分野でも細胞培養や、DNAの増幅などのほか、原子力発電など用途が高い水です。比抵抗値、TOC値、微粒子数、生菌数を管理した水です。

膜分離技術による水処理方法

私たちの住む地球は豊かな水資源に恵まれている惑星と思われがちですが、地球の水の97%以上は海水で人間が利用できる淡水は、なんとわずか2.5%しかありません。

しかし、近年の爆発的な人口増加によって、水の使用量は増加の一途にあり、さらに森林伐採や世界的な気象の変化による水資源の枯渇、水源の水質悪化は世界規模で深刻な問題となっています。こうした時代だからこそ、安全で安心できる水を安定的に供給するために、ろ過処理法は重要な技術の一つとなっています。

膜分離方法について

膜分離方法には以下の種類があります。

膜分離方法
逆浸透(RO)
半透膜により分離するので、水溶液中の最少溶解成分であるイオン(塩素イオン、硝酸イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、etc)や有機物質を水と分離することができます。この性質を利用し、海水淡水化等のために多く用いられています。このほか、超純水や電子・製薬・食品工業用など幅広い産業での製造用水を作る上でも用いられています。
限外ろ過(UF)
通常、孔の大きさが0.01μm(10nm)以下。精密ろ過膜よりも小さい膜。細菌やウィルス除去を目的として用いられます。
精密ろ過(MF)
通常、孔の大きさが0.01μm(10~1,000nm)超えるものをいい、。大腸菌やコレラ菌などの除去ができる大きさです。日本の水道水はこの方式が用いられ、このほか超純水精製時の粗取り用ろ過などにも利用されています。

逆浸透法の特長

逆浸透法はエネルギー消費量の少なさから急速に普及してきている技術です。主な特長として、以下の5つがあげられます。

1.溶解塩類を除去
水中の溶解塩類をはじめ、溶存物質の大部分、例えば、溶解有機物(トリハロメタン前駆体、農薬等)微細粒子(生菌類、死菌類、その他微粒子)を安定的かつ効率的に除去。超純水から海水淡水化まで幅広く適用できます。
2.省エネルギー型分離方法
かつては海水を蒸発させ、この蒸気を凝縮し、淡水を得ていましたが(蒸発法)、水を蒸発させる必要がないので、エネルギー消費が少なくて済みます。
3.有価物の濃縮回収が可能
熱を加えないので、溶液中の有価物を熱によって変質させることなく、濃縮回収することができます。
4.装置がコンパクト
容積効率に優れたモジュールを立体的に構成することができるので、装置の設置面積を少なくできます。
5.運転管理が容易
装置がシンプルなため、運転管理が容易となり、メンテナンスにも手間がかかりません。

逆浸透の原理

逆浸透の原理